スマホやパソコンの普及で、日常の中に「ID」や「パスワード」があふれるようになりました。
ネット銀行、年金サイト、電気やガスの明細、通販、LINEなどのSNS…。
どれも大切な情報ですが、本人しか分からないままになっているケースが少なくありません。
特に高齢の方にとっては、
「クラウドに保存しておけば安心」と言われても、
「どうやってやるの?」
「どうやって見るの?」
「家族は入れないの?」
と、多くの不安が残ります。
この記事では、そんな不安を解消するために、
“最後はアナログが一番安心”という観点から、
紙のノートを使った保管方法をご紹介します。
目次
クラウド保管をおすすめしない理由

クラウドサービスは便利ですが、
実際には次のような問題点があります。
• 家族でも本人のスマホやメールがないとログインできない(二段階認証の壁)
•「本人以外のログイン禁止」という規約の制限
• 長期間ログインしないと自動削除されることがある
つまり、「クラウドに入れておけば安心」という考え方は、高齢者にはむしろリスクになる場合もあるのです。
二段階認証と生体認証の落とし穴

最近は、IDとパスワードだけでなく、
「二段階認証」や「生体認証(指紋・顔認証)」が求められるサービスが増えています。
この仕組み自体は安全性を高めるためのものですが、
もし本人がスマホを使えなくなった場合、家族でもログインができなくなるのです。
たとえば、
• スマホが指紋や顔でロックされていて開けない
• 認証コードが本人のスマホにしか届かない
• スマホを解約すると、認証コードの受け取りもできなくなる
これらは実際によくあるケースです。
つまり、二段階認証こそが
「家族が入れない最大の壁」になっているのです。
紙のノートで残す安心感

クラウドよりも確実で、
家族が見つけやすいのが、紙のノートです。
自分の字で書き残すことで、
「自分で管理している」という実感も生まれます。
ノートを使うときのポイント
• サイズはA4、A5、B5程度。
ハードカバーでしっかりしたものがおすすめ
• メモ帳や付箋など、捨てやすいものは避ける
• 黒インクで見やすく書く。
修正は二重線と日付を添える。
• ノートを封筒やクリアファイルに入れて、
「パスワードノート」と明記
• 金庫や机の引き出しなど、決まった場所に保管
• 家族には「ノートの保管場所だけ」を伝えておく
記載しておきたい内容
(例)
サービス名
○○銀行マイページ、楽天市場など
ID
abcd1234
パスワード
********(変更したら日付を記入)
登録メール
xxxx@example.com
二段階認証の方法
SMS/認証アプリ/指紋認証など
認証端末
iPhone SE(電話番号090-xxxx-xxxx)
更新日
2025年10月29日
備考
解約先URL・問い合わせ先など
「紙+少しのデジタル」で安心を補う
完全にアナログでも十分ですが、少しだけデジタルを活用すると、さらに安心が増します。
たとえば、
• ノートをスマホで撮影して、自分のメール宛に送っておく
• スマホのアルバムに「非常時」というフォルダ名で保存する
これなら、クラウドアプリを使う必要もなく、
家族も見つけやすい形で残せます。
生前整理にもつながる「情報の見える化」

ノートにまとめる作業は、単なる記録ではありません。
「今、どんなサービスを使っているか」
「不要な契約はないか」を見直すきっかけになります。
結果として、
• 無駄な課金の発見
• 家族への引き継ぎ準備
• 暮らしの整理
情報や契約、モノを整理しておくことで、
もしものときも慌てることがありません。
不安を抱える毎日より、安心して過ごせる暮らしへ。
それが、生前整理の本当の目的です。
むずかしいことをなくして、安心できる整理を

現代の暮らしは、便利になった反面、高齢の方にとっては「むずかしいこと」が増え続けています。
パソコンやスマートフォン、ネット契約、書類の手続き……。
「これはどうしたらいいの?」
「渡辺さんが来てくれた時に聞こうと思って…」
と、わたしの元にもご相談が増えてきました。
実際の生前整理の現場で、
Needs Tokyoが特に大切にしているのは、
高齢者様にとって難しいことを提案しない
ということ。
どなたでも安心して進められるように、
「かんたんに」「だれでもできる」「だれでも分かる」方法を一緒に考えています。
便利なクラウドやアプリは、いざというときにスピーディーに家族が開けなければ意味がありません。
スマホやパソコンは壊れることがありますが、
紙のノートは見つけることができます。
デジタルの時代だからこそ、
大切なものほどアナログで残す。
今日から1冊、
「パスワードノート」を作ってみましょう。
もちろん、エンディングノートでもOKです!
それが、あなたと家族のいちばん確かな安心につながります。
Needs Tokyoの生前整理はテクニックだけではなく、心に寄り添い、ひとりひとりに合った“やさしい整理”を提案しています。
