母と娘の生前整理がうまくいかないとき。気持ちをつなぐキッチン整理のサポート事例

はじめに

親子だからこそ、気持ちがぶつかることもある

生前整理を「親子で始めよう」と思っても、
いざ始めてみると、思い出や価値観の違いから
話がかみ合わないことがあります。

特に「母と娘」の場合、
“良かれと思って言った言葉”が相手を傷つけてしまうことも。

今回は、母と娘で生前整理を始めたものの意見がぶつかり、Needs Tokyoにご依頼をいただいたご家庭の実例をご紹介します。

どのように心のすれ違いを解きほぐし、整理を前へ進めていったのか、時系列でご紹介します。

ご相談のきっかけ

話すたびに衝突してしまう

最初にご相談くださったのは娘さんでした。
「母が物を手放せないんです。私が言うと怒ってしまって……」と。

娘さんは床置きなどの転倒リスクを減らして、快適で安全に暮らしてほしいというお母さまを思って“片付けを進めたい”という前向きな気持ち。

一方でお母さまは“まだ使える” “思い出がある”という想い。

どちらも正しく、愛情から出た言葉でした。
しかし、感情がすれ違うことで、作業は止まってしまっていたのです。

初回訪問

片付けよりも気持ちの整理から

最初の訪問では、まずお二人の気持ちを丁寧に聞くことから始めました。

「なぜ今、生前整理をしたいと思ったのか」
「どんな暮らしにしていきたいか」

お話を伺ううちに、
お母さまは「娘に迷惑をかけたくない」
娘さんは「母が元気なうちに、一緒に整理をしたい」と。

実は目指す方向は同じなのです。
その気持ちを確認できたことで、お互いに少し安心した表情になりました。

キッチン整理で見つかった、思い出のお弁当箱の再生

2回目の訪問では、生活の中心であるキッチンの整理に取りかかりました。

ここはお母さまが毎日立ち続けてきた場所。
お鍋や食器には「家族の歴史」が詰まっています。

まずは、食器棚や引き出しの中身をすべて出して、

• 今も使っていて、これからも残したいもの
• ここ数年使っていないもの
• 使い勝手の悪いものや壊れて使えないもの
• リサイクルなど、人に譲るもの

を仕分けていきました。

食器整理の途中で出てきた“思い出のお弁当箱”

仕分けの途中、古いお弁当箱が出てきました。

それは、娘さんが毎日使っていたもの。
ふたには、少し色あせたキャラクターの絵が残っていました。

娘さんは懐かしそうに笑いながらも、
「もう使わないから、捨てていいよ」とあっさり。

けれどお母さまは、
「これだけは手放せないのよね」と静かにおっしゃいました。

その一言に、
長年、家事や仕事に追われながら、お弁当を作り続けてきたお母さまの想いが詰まっているのを感じました。

“手放す”ではなく、“生かす”選択へ

そこで私は、「捨てる・残す」の2択ではなく、
“別のかたちで生かす”という提案をしました。

「このお弁当箱、お母さまの手芸用品入れにしてみませんか?」

針山、糸巻き、小さなボタンなど、細かい道具を入れるのにぴったりなサイズでした。

試しに入れてみると、お母さまの表情がふっと和らぎ、
「まぁ、ちょうどいい大きさね」と笑顔に。

娘さんも「そうやって使うなら、いいね」と納得。

思い出の品が、“捨てる”から“生かす”へと生まれ変わった瞬間でした。

“心の整理”が進むと、モノの整理も進む

その後は、使っていない鍋や食器を少しずつ手放せるようになり、棚の中は驚くほどスッキリ。

「片付けって、モノを減らすことじゃないのね」
お母さまのその言葉に、娘さんがうなずきながら微笑まれました。

この日、キッチンには新しい風と、親子のやさしい空気が流れていました。

Needs Tokyoからひとこと

思い出の品に出会ったとき、
無理に手放すよりも「別の使い道を見つける」ことで、気持ちが前に進むことがあります。

たとえば、コップはペン立てや花瓶にもなりますね!

Needs Tokyoでは、モノを通して心を整える整理を大切にしています。

親子の生前整理においても、「その方らしい使い方」を一緒に探していきます。

どうぞお気軽にご相談ください。